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高分子の結晶化挙動と
結晶化促進技術による高性能・高機能化
-次世代バイオプラスチックのポリ乳酸を代表例として-

受講可能な形式:【Live配信(アーカイブ配信付)】のみ

 成形加工分野別の結晶化促進剤の選択指針や配合設計、耐熱性と耐衝撃性との両立事例などなど、
抽象的・概念的解説に留まらないよう、具体的な一つの素材を例に解説します。
具体例となる素材は「ポリ乳酸」
近年注目を集める次世代バイオプラスチックを例に、具体的かつ実践的な知識を提供します。

ポリ乳酸以外の結晶性高分子の技術・研究開発において同じような課題に直面されている方にも
是非お役立ていただきたく、ポリ乳酸の基本特性から解説します
日時 2024年8月29日(木)  10:00~17:00
会場 オンライン配信セミナー  
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アーカイブ(見逃し)配信付き
視聴期間:開催終了2営業日後から5日間[9/2~9/6]を予定
※アーカイブは原則として編集は行いません
※視聴準備が整い次第、担当から視聴開始のメールご連絡をいたします。
(開催終了後にマイページでご案内するZoomの録画視聴用リンクからご視聴いただきます)
備考※講義中の録音・撮影はご遠慮ください。
※開催日の概ね1週間前を目安に、最少催行人数に達していない場合、セミナーを中止することがございます。
得られる知識
・結晶性高分子の結晶化理論、結晶化挙動の解析と結晶化速度パラメータの算出法
・ポリ乳酸のD体共重合比(%D)が結晶化速度に及ぼす影響
・ポリ乳酸の成形加工における結晶化促進剤の選択/配合設計指針
・ポリ乳酸の結晶化速度促進による成形加工性や耐熱性、寸法安定性の向上

セミナー講師

望月 政嗣 氏 (元京都工芸繊維大学特任教授、工学博士、高分子学会フェロー)
【専門】高分子材料科学、特にバイオプラスチックや生分解性高分子、
高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性
[紹介]
1968年 京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て
1969年 ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て
2003年 理事、テラマック事業開発部長。この間山形大学と京都工芸繊維大学客員教授、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務
2007年 ユニチカ㈱定年退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。この間、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。繊維学会功績賞、日経BP技術賞、その他を受賞。
[著書]
「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」(CMCリサーチ)「生分解性プラスチックの素材・技術開発―海洋プラスチック汚染問題を見据えて―」(NTS)、「バイオプラスチックの素材・技術最前線」(シーエムシー出版)、「生分解性ポリマーのはなし」(日刊工業新聞社)、その他多数

 

セミナー趣旨

 結晶性高分子は成形加工工程で結晶化することにより、その素材固有の潜在的性能としての熱的・力学的特性を発現することができる。しかるに、ポリ乳酸(PLA)に代表される結晶化速度の遅い結晶性高分子は成形加工工程で結晶化が十分に進まず、成形加工性や得られる成形品の耐熱性や寸法安定性などは低レベルに留まらざるを得ない。
 本セミナーでは結晶性高分子の結晶化速度論を抽象的な観念論ではなく、次世代バイオプラスチックとして近年脚光を浴びているPLAの結晶化速度を飛躍的に向上させるための、具体的な材料設計(分子設計/配合設計)技術を成形加工分野毎に分かり易く解説する中で理論と実際の両面から論述する。また、得られるPLA成形品の耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性、成形加工性や製品開発動向についても詳述する。

セミナー講演内容

1.次世代バイオプラスチックとしてのポリ乳酸
 1.1 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
  1)石油を原料とする合成高分子化学工業が内包するパラドックス
  2) 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環(炭素循環)へのリンク
  3) 生分解性バイオマスプラへのパラダイムシフト
 1.2 ポリ乳酸の基本特性
  1) 熱可塑性脂肪族ポリエステル…結晶性高分子(Tm:130~190℃、Tg:58℃)
  2) 安全性、食品衛生性、抗菌・防カビ性
  3) 環境低負荷特性…LCAによる客観的・定量的評価
  4) 生分解性バイオマスプラ
    ①生分解機構…非酵素分解(加水分解)型
     ・2段階2様式の特異的な生分解機構…生分解性と耐久性の両立
     ・分解(開始・速度)制御機構内包…短期使用から長期耐久性構造材料まで
    ②自然環境(土壌、海水・淡水)下での完全生分解性
    ③使用後の再資源化(リサイクル)
     ・バイオリサイクル…堆肥化(好気性下)又は生ごみ発電(嫌気性下)
     ・ケミカルリサイクル…熱分解による原料ラクチドへの還元
     ・マテリアルリサイクル

2.ポリ乳酸の結晶化挙動の解析
 2.1 結晶化速度理論
  1) 球晶成長速度G=G0exp(-ED/RT-KTm/RT(Tm-T) の物理的意味
    ①第一項:セグメントの拡散過程…温度と正の相関 
    ②第二項:核形成過程…温度と負の相関
  2) 非晶分率θ=1-X/X∞=1-x=exp(-kt n)(Avrami式)における結晶化速度定数k
 2.2 DSC測定による結晶化挙動の解析…等温結晶化温度曲線
  1) 結晶化速度パラメータ: 結晶化開始(誘導)時間ts,、半結晶化時間t1/2,、結晶化速度定数kの算出
  2) 結晶化度Wcの算出
  3) 最も結晶化速度の速い結晶化温度Tcの同定
 2.3 偏光顕微鏡による球晶成長速度の観察
 2.4 等温結晶化と非等温結晶化…冷却速度が結晶化温度や結晶化度に及ぼす影響
 2.5 成形加工工程における結晶化の分類
  1) Melt Crystallization(メルトから室温下への降温冷却過程における結晶化)
    …押出成形、射出成形、ダイレクト・ブロー成形
  2) Cold Crystallization(室温からの加熱昇温過程における結晶化)
    …真空・圧空成形、発泡成形、インジェクション・ブロー成形
 2.6 結晶化速度が遅い場合に顕在化する問題点
  1) 成形加工性(成形サイクル)
  2) 耐熱性(熱変形温度)
  3) 強度・弾性率
  4) 寸法安定性(熱収縮、経時変化)

3.ポリ乳酸の一次構造と結晶化挙動
 3.1 ポリ乳酸の等温結晶化挙動(結晶化温度:90~130℃)
  1) Melt Crystallization
  2) Cold Crystallization
  3) 最も結晶化速度の速い結晶化温度は?
 3.2 ポリ乳酸の結晶化挙動に影響を及ぼす一次構造因子
  1) D体共重合比率XD(%D)
  2) 分子量
 3.3 第二世代ポリ乳酸/高L組成ポリ乳酸(High %L PLA, %D<0.5)の改良効果
 3.4 ポリ乳酸レジンメーカー

4.ポリ乳酸用結晶化促進剤の選択と配合設計指針
 4.1 結晶化促進剤の分類
  1) 造核剤…結晶核形成促進作用
    ①固体分散型 ②溶解型…透明耐熱化 ③架橋剤
  2) 結晶化促進剤…結晶成長速度促進作用
  3) マルチ機能改質剤…結晶核形成と成長の双方を促進
 4.2 成形加工分野別結晶化促進剤の選択指針…成形時の溶融張力との関係
 4.3 耐熱性と耐衝撃性との両立…マルチ機能改質剤
 4.4 ポリ乳酸成形品の耐熱性到達レベル
  1) 電気・電子機器筐体、部品…低荷重下(0.45MPa)150 ℃
  2) 電子レンジ加熱可能…120~130℃ x 5分
  3) 熱湯注入可能…95~100℃
 4.5 ポリ乳酸に残された耐熱性の挑戦課題…透明耐熱性(ヘイズ<5%、130℃<)

5.ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発動向
 5.1 成形加工性の物理的意味
 5.2 成形加工性支配因子
  1) 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力の分子量依存性
  2) 冷却固化過程…Tg又は結晶化速度(冷却速度、変形速度依存性)
    ①室温<Tgの場合 ⇒ Tg…室温下への冷却だけでガラス化
    ②Tg<室温の場合 ⇒ 結晶化速度…室温下への冷却過程で結晶化が必須
 5.3 成形加工法…押出成形、射出成形、真空・圧空成形、発泡成形、ブロー成形
 5.4 ポリ乳酸系製品・市場開発動向…豊富な製品写真で紹介
  1) 農林・園芸・土木・水産資材
  2) 使い捨て容器・包装材
  3) 生活・衛生・雑貨用品
  4) 電子機器筐体・部品、自動車内装材、産業資材


  □質疑応答□