eBookebook番号:EB044a(パージファクター)
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【製本版+ebook版】
【ICH M7 変異原性不純物(品質パート)】
パージファクター活用(スコアリングと判定基準)及び
ニトロソアミン類のリスク評価
~各パージファクター算出方法・管理オプション選定・推定パージファクター及び
ニトロソアミン不純物のリスク評価と試験法設定~
~ICH M7 Q&A案(品質)の要点と最近の照会事項例等~
配信開始日 | 2021年9月22日 |
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フォーマット | 製本版+ebook版(PDF) ※ebook版は、PDF (印刷・データコピー不可) WEBブラウザ上または専用アプリケーション(bookend)より閲覧可能です ※製本版とebook版の内容は同一です |
体裁 | B5 PDF 109頁(ebook版) B5判 並製本 109頁(製本版) |
価格(税込)
各種割引特典
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38,500円
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アカウント数 | アカウント数 :10アカウント 【アカウントの追加方法】 ※購入者以外に最大9アカウントまで追加可能(無料) ※購入者を除いた10名様でのアカウント適用を希望の場合は、申込の際の「備考欄(通信欄)」にその旨ご記入ください。 |
閲覧期間 | 無期限 |
オフライン閲覧 | 可能 |
対応OS・デバイス | Win・Macの両OS、スマートフォン・読書端末(iPhone,iPadなど) |
注意事項 | ebookのダウンロードは、S&T会員「マイページ」内で行いますので、S&T会員登録(無料)が必須です。 |
ISBNコード | 978-4-86428-261-1 |
Cコード | C3047 |
変異原性不純物の管理における最新の観点を集約
昨今の動きであるICH M7 Q&Aをふまえた規制情報、推定パージファクター、
ニトロソアミン類のリスク評価、関連の照会事項等、
先般書籍では網羅しきれなかった【品質関連】テーマを深堀する!
<ICH M7 Q&A案(品質)の要点と最近の照会事項例>
◎ICH M7 Q&A案のQuality part関連のポイント期待されるリスクコミュニケーション
◎医薬品不純物関連のリスクアセスメントに関わる照会事項例及び望まれる対応
<パージファクターを用いたリスク評価の実際:スコアリング方法と判定基準>
◎各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法
◎予測のパージファクターにおける各物理化学的パラメータ毎のスコアリングの考え方
◎サクラミル原薬を事例に用いて、仮想上で変異原性不純物の管理戦略構築例を提示
◎推定パージファクターの運用における課題と推奨アプローチ
<今後厳格化されるニトロソアミン不純物へ求められるリスク評価と試験法>
◎EMA/FDAにおけるニトロソアミン不純物の管理への要求事項の比較
◎ニトロソアミン類混入の根本原因毎のリスク評価の考え方
◎ニトロソアミン類の試験法への要求事項及び分析法設定・試験実施時における留意点
<ポイント詳細> ICH M7Q&Aをふまえた変異原性不純物管理(品質パート)
◎ICH M7 Q&A案をふまえた規制動向と今後求められる対応 意見公募に付されたQ&A案のうちQuality part関連の質問に対する留意事項に注力して解説! <扱っている質問(一部)> ※詳細は目次をご確認ください
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著者
(独)医薬品医療機器総合機構 福地準一 |
富士フイルム(株) 長遠裕介 |
小野薬品工業(株) 田村慎司 |
シオノギファーマ(株) 長尾恭子 |
(独)医薬品医療機器総合機構 小川卓巳 |
書籍趣旨
本書の章立て「 第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
|
各章の内容紹介 <本文抜粋>
「第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
( (独)医薬品医療機器総合機構 福地 準一 / 著)
本稿では、2020年7月から1か月間、意見公募に付されたICH M7 Q&A案について、主としてquality partに関連する質問に関し、ポイントと考えられることを中心に概説する。……(中略)……ICH M7ガイドラインが導入されて以来、変異原性不純物の管理戦略の妥当性を示す上で、推定パージファクターを利用する際、例えば、どのくらいの情報やデータが実際には必要なのかは課題とされ、推定パージファクターに関する留意事項も含め、Q&Aとして明示する期待と需要が高まってきた。これが、Q&A作成の機運を高め、動機付けの要因の一つとなり、パージファクターに関連する事項以外の例えば変異原性評価に関連するQ&Aも含め、ICH M7ガイドライン全体の記載事項を対象にして、規制当局と医薬品業界との間での解釈の違いや規制当局間での対応の違いが生じないよう、Q&Aが作成されることとなり、2018年のICHシャーロット会合にて、Q&Aの議論が開始された。……(本文へ続く)
「第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:
パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
( 富士フイルム(株) 長遠 裕介 / 著)
…パージファクターを用いた不純物のリスク評価において,はじめに申請時の原薬製造ルートに対して不純物のハザード評価を実施し,管理が必要な変異原性不純物を選定する。次に,各変異原性不純物に対して管理レベルに基づく必要となるパージファクター(Required purge factor)を算出する。さらに,Teasdale等の手法を用いて予測のパージファクター(Predicted purge factor)を算出する。最後に,予測のパージファクターと必要とされるパージファクターの比であるパージ比(Purge Ratio)を算出して,パージ比の大きさに基づいて管理オプションを選定する。……(中略)……得られたパージ比の大きさがオプション4適用において不十分であった場合には,実測のパージファクター等,追加の実験データを取得してオプション4適用の妥当性を再検証する事が可能である。各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法について以下に解説する。……(本文へ続く)
●「予測のパージファクター(Predicted purge factor)」
……予測のパージファクターを決定するにあたり,各物理化学的パラメータのスコアリング方法及びスコアの判定基準を設定する必要がある。予測のパージファクター算出における各物理化学的パラメータのスコアリング方法の考え方及びスコアの判定基準の例について以下解説する。尚記載したパージファクターのスコアリング方法及びスコアの判定基準については,あくまで著者の見解に基づく提案であり規制当局から承認等が得られたものではない点にご留意頂きたい。……(本文へ続く)
●「サクラミル原薬における変異原性不純物の管理戦略の構築」
……前項まで解説したパージファクターを用いたリスク評価について,実際にサクラミル原薬を事例に用いて変異原性不純物の管理戦略を構築した。尚,本事例はあくまで仮想上のものである事と,内容の理解のためにサクラミル原薬S2モックから変更点等を加えている事に,予めご了承頂きたい。図●にリスク評価の対象となるサクラミル原薬の商業用製造ルートを示す。……(本文へ続く)
「第3章 推定パージファクターの活用における留意事項 」
( 小野薬品工業(株) 田村 慎司 / 著)
●「推定パージファクターのスコアリング」
……本項では、パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、特に紙ベースによる推定パージファクターの各物理化学的パラメータのスコアの選択(以下、スコアリング)に際して、考慮すべき点や議論の発生しやすい点に焦点を当て、筆者の私見を述べる。オプション4の管理戦略やパージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価の全体像については、第2章をご参照いただきたい。……(本文へ続く)
……本章では推定パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、スコアリングに際して留意すべき点を中心に述べた。リスク評価には絶対的な正解はないと考えられるが、それぞれの計算者が自身の評価を科学的な根拠に基づいて客観性と透明性をもって説明できる必要がある。このため、製造工程の十分な理解と科学に基づきスコアリングを行い、その根拠を明確な記録として残すことが重要である。……(中略)……推定パージファクターを用いたリスク評価に基づくオプション4の管理戦略を積極的に活用することで、残留リスクの高い不純物の管理に高感度分析などのリソースを集中することが可能となり、リスクマネジメントの原則も取り入れた効率的な医薬品開発につながることが期待される。(第3章内「おわりに」より)
「第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法 」
( シオノギファーマ(株) 長尾 恭子 /著)
……2018年6月にバルサルタン原薬においてN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことを皮切りに、欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)は他国の規制当局と共に医薬品へのニトロソアミン類の混入に関する調査を、テトラゾール環を有するサルタン系の原薬に留まらず、他のカテゴリーの医薬品にまで拡大して実施した。その結果、サルタン系の原薬の他にもH2ブロッカーであるラニチジン、ニザチジン、糖尿病治療薬のメトホルミンからもニトロソアミン不純物が検出され、安全性が確保できないと判断された製品については世界的に医薬品の回収が行われた。……(中略)……日本においても今後、欧米と同様にニトロソアミン不純物の規制は厳格化されることが予想される。本章では、ニトロソアミン不純物に求められるリスク評価とその試験法について紹介する。 ……(本文へ続く)
「第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例」
( (独)医薬品医療機器総合機構 小川 卓巳 /著)
……リスクアセスメントについてはICH Q9において示されているが、この考え方は昨今の医薬品品質の審査の様々な場面において参考となる内容となっている。リスクアセスメントの流れとしてはリスクを特定し、リスクを分析する、そしてリスク評価するということになり、うまくいかないという事態、即ちリスクを遠ざけるために、評価されるものである。承認後においては、このリスクアセスメントの作成、見直しが必要になる機会が多く発生し、その結果として、管理戦略の変更が生じ、薬事手続きが必要になるケースもある。医薬品不純物でいえば、混入する不純物は何か、混入源や要因は何か、混入する可能性や程度はどのくらいか、混入したときに、どのようなことが想定されるか等を予め検討することになる。そして、その結果を踏まえて適切な管理戦略の策定(製造管理、品質管理)が行われる。……(中略)……次項では、不純物のリスクアセスメントに係る事例としておさえてほしいものをいくつか例示する。なお、個々の品目ごとの対応は申請品目の特性に応じて検討するものであり、本稿で述べる内容は適切な対応例ではないケースも想定されることに留意してほしい。……(本文へ続く)
目次
1. Q&A作成の背景や経緯について
2. 意見公募にかけられたICH M7 Q&A案の概説
2.1 半合成原薬とその製剤は,ICH M7の適用範囲に含まれるか? (質問2.1)
2.2 「4.3 市販製品の臨床使用に対する変更」にある,「臨床用量の著しい増量」とは
何を指すのか? (質問4.1)
2.3 原薬の規格に規定されたクラス2又はクラス3の不純物が3つ以上の場合,
「表2:個々の不純物に対する許容摂取量」が適用されるか? (質問7.5)
2.4 オプション4の管理戦略の適用が適切なのはどのような場合か? (質問8.1)
2.5 予測的なパージ計算をオプション4の管理に使用にするあたり,どのような要素を
考慮すべきか? (質問8.2)
2.6 8.2項「管理方法の検討事項」にある,「合成の最終工程で導入される不純物に
ついては,妥当性が示されない限り,オプション1による管理方法の適用が
期待される」とはどういう意味か? (質問8.3)
2.7 オプション2及び3の管理として,定期的検証試験(すなわち,スキップ試験)は
認められるか? (質問8.4)
2.8 潜在的な変異原性不純物に関する試験データ(すなわち,工程内,中間体,又は
原薬の不純物試験データ)が複数のバッチで一貫してTTCの30%未満であった
場合,その不純物の試験を行わないとする管理戦略の妥当性を示すのに十分か?
(質問8.5)
2.9 オプション3及び4の管理の裏付けとなる分析実験のデータを取得する際,
スケールに関してどのような事を考慮すべきか? (質問8.6)
2.10 製造販売承認申請に際して,どのような内容及びCTDの記載箇所によって,
ICH M7のリスク評価及び管理戦略の明確さを向上させる事ができるか?(質問9.2)
3. 総括と展望
第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法
2. オプション4による管理
3. パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法
3.1 必要となるパージファクター(Required purge factor)
3.2 予測のパージファクター(Predicted purge factor)
3.2.1 反応性(Reactivity)
3.2.2 溶解性(Solubility)
3.2.3 揮発性(Volatility)
3.2.4 イオン化性(Ionizability)
3.2.5 物理的プロセス(Physical processes)
3.3 実測のパージファクター(Measured purge factor)
3.4 パージ比(Purge Ratio)
3.5 in silicoツールを用いたパージ評価
4. サクラミル原薬における変異原性不純物の管理戦略の構築
4.1 不純物のハザード評価結果
4.2 変異原性不純物の許容限度値の算出
4.3 パージファクターを用いたリスク評価
4.3.1 CP-3のリスク評価
4.3.2 CP-4のリスク評価
4.3.3 CP-5のリスク評価
4.3.4 CP-6のリスク評価
4.3.5 不純物D(daughter impurity D)のリスク評価
4.3.6 Oxalyl chlorideのリスク評価
4.3.7 Dimethylcarbamoyl chloride(DMCC)のリスク評価
4.4 管理戦略のまとめ
おわりに
第3章 推定パージファクターの活用における留意事項
1. 推定パージファクター
2. 推定パージファクターのスコアリング
2.1 リスク評価の考え方
2.2 推定パージファクターのスコアリングの根拠
2.3 各物理化学的パラメータのスコアリング
2.4 反応性(Reactivity)
2.4.1 実測値及び予測値に基づくスコアリング
2.4.2 科学的な考察に基づくスコアリング
2.5 溶解性(Solubility)
2.5.1 実測値及び予測値に基づくスコアリング
2.5.2 科学的な考察に基づくスコアリング
3. スコアリングに際しての留意点
3.1 初期濃度の設定
3.2 同一工程内における同一要素のスコアの積算
3.3 分液操作に対するスコアリング
3.4 ケーキ洗浄への溶解性スコアの適用
3.5 溶解性(Solubility)とイオン化性(Ionizability)の相違について
3.6 変異原性不純物が別の変異原性不純物に変換される場合
3.7 スコアの透明性を向上するために
4. その他の留意点など
4.1 製造方法の変更に関する留意点
4.2 推定パージファクターの根拠の当局への提出
4.3 出発物質選定の妥当性の根拠としての推定パージファクターの活用
4.4 残留溶媒の残留リスク評価
おわりに
第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法
1. ニトロソアミン不純物の管理に対する要求事項
1.1 ガイダンスのスコープ
1.2 リスク評価,検証試験,規制当局への報告
1.3 ニトロソアミン類の管理を目的とした変更管理
1.4 対応期限
2. ニトロソアミン類に関するリスク評価
2.1 原薬製造プロセスにおけるリスク評価
2.2 使用原料へのニトロソアミン類または原因物質混入に関するリスク評価
2.3 その他の混入リスク評価
2.4 ニトロソアミン類の混入リスクが認められた場合の更なる評価について
2.5 製剤製造プロセスにおけるリスク評価について
3. ニトロソアミン類に関する管理戦略
3.1 管理戦略開発のアプローチ
3.2 製剤中のニトロソアミン類の許容摂取量
3.2.1 単一の既知のニトロソアミンが同定されたときの許容摂取量の計算
3.2.2 単一の未知のニトロソアミンが同定されたときの許容摂取量の計算
3.2.3 複数のニトロソアミンが同定された場合の許容摂取量の計算
4. ニトロソアミン類の試験法
4.1 ニトロソアミン類の試験法に対する要求事項
4.2 分析法の設定および試験実施時における留意点
4.2.1 測定手法の選択
4.2.2 微量分析を達成できる高感度検出器
4.2.3 測定試料に対する前処理
4.2.3.1 原薬中のニトロソアミン類の前処理の方法
4.2.3.2 製剤中のニトロソアミン類の前処理の方法とコツ
4.2.3.3 試験法開発時および実験操作における留意点
4.2.4 測定に用いるシステム
4.3 ニトロソ化剤,被ニトロソ化剤の管理
4.4 LC-MS/MSによるニトロソアミン類の試験法の実例
4.4.1 NDMAの直線性,定量限界について
4.4.2 NDEAの直線性,定量限界について
まとめ
第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例
1. 不純物のリスクアセスメントの重要性
2. 事例
【事例1】 元素不純物について
【事例2】 変異原性不純物について
【事例3】 ニトロソアミン類について
おわりに
著者
(独)医薬品医療機器総合機構 福地準一 |
富士フイルム(株) 長遠裕介 |
小野薬品工業(株) 田村慎司 |
シオノギファーマ(株) 長尾恭子 |
(独)医薬品医療機器総合機構 小川卓巳 |
書籍趣旨
本書の章立て「 第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
|
各章の内容紹介 <本文抜粋>
「第1章 ICH M7 Q&A案 – quality partの概説と期待されるリスクコミュニケーション 」
( (独)医薬品医療機器総合機構 福地 準一 / 著)
本稿では、2020年7月から1か月間、意見公募に付されたICH M7 Q&A案について、主としてquality partに関連する質問に関し、ポイントと考えられることを中心に概説する。……(中略)……ICH M7ガイドラインが導入されて以来、変異原性不純物の管理戦略の妥当性を示す上で、推定パージファクターを利用する際、例えば、どのくらいの情報やデータが実際には必要なのかは課題とされ、推定パージファクターに関する留意事項も含め、Q&Aとして明示する期待と需要が高まってきた。これが、Q&A作成の機運を高め、動機付けの要因の一つとなり、パージファクターに関連する事項以外の例えば変異原性評価に関連するQ&Aも含め、ICH M7ガイドライン全体の記載事項を対象にして、規制当局と医薬品業界との間での解釈の違いや規制当局間での対応の違いが生じないよう、Q&Aが作成されることとなり、2018年のICHシャーロット会合にて、Q&Aの議論が開始された。……(本文へ続く)
「第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:
パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法 」
( 富士フイルム(株) 長遠 裕介 / 著)
…パージファクターを用いた不純物のリスク評価において,はじめに申請時の原薬製造ルートに対して不純物のハザード評価を実施し,管理が必要な変異原性不純物を選定する。次に,各変異原性不純物に対して管理レベルに基づく必要となるパージファクター(Required purge factor)を算出する。さらに,Teasdale等の手法を用いて予測のパージファクター(Predicted purge factor)を算出する。最後に,予測のパージファクターと必要とされるパージファクターの比であるパージ比(Purge Ratio)を算出して,パージ比の大きさに基づいて管理オプションを選定する。……(中略)……得られたパージ比の大きさがオプション4適用において不十分であった場合には,実測のパージファクター等,追加の実験データを取得してオプション4適用の妥当性を再検証する事が可能である。各パージファクターの算出方法や管理オプションの選定方法について以下に解説する。……(本文へ続く)
●「予測のパージファクター(Predicted purge factor)」
……予測のパージファクターを決定するにあたり,各物理化学的パラメータのスコアリング方法及びスコアの判定基準を設定する必要がある。予測のパージファクター算出における各物理化学的パラメータのスコアリング方法の考え方及びスコアの判定基準の例について以下解説する。尚記載したパージファクターのスコアリング方法及びスコアの判定基準については,あくまで著者の見解に基づく提案であり規制当局から承認等が得られたものではない点にご留意頂きたい。……(本文へ続く)
●「サクラミル原薬における変異原性不純物の管理戦略の構築」
……前項まで解説したパージファクターを用いたリスク評価について,実際にサクラミル原薬を事例に用いて変異原性不純物の管理戦略を構築した。尚,本事例はあくまで仮想上のものである事と,内容の理解のためにサクラミル原薬S2モックから変更点等を加えている事に,予めご了承頂きたい。図●にリスク評価の対象となるサクラミル原薬の商業用製造ルートを示す。……(本文へ続く)
「第3章 推定パージファクターの活用における留意事項 」
( 小野薬品工業(株) 田村 慎司 / 著)
●「推定パージファクターのスコアリング」
……本項では、パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、特に紙ベースによる推定パージファクターの各物理化学的パラメータのスコアの選択(以下、スコアリング)に際して、考慮すべき点や議論の発生しやすい点に焦点を当て、筆者の私見を述べる。オプション4の管理戦略やパージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価の全体像については、第2章をご参照いただきたい。……(本文へ続く)
……本章では推定パージファクターを用いた変異原性不純物の残留リスク評価のうち、スコアリングに際して留意すべき点を中心に述べた。リスク評価には絶対的な正解はないと考えられるが、それぞれの計算者が自身の評価を科学的な根拠に基づいて客観性と透明性をもって説明できる必要がある。このため、製造工程の十分な理解と科学に基づきスコアリングを行い、その根拠を明確な記録として残すことが重要である。……(中略)……推定パージファクターを用いたリスク評価に基づくオプション4の管理戦略を積極的に活用することで、残留リスクの高い不純物の管理に高感度分析などのリソースを集中することが可能となり、リスクマネジメントの原則も取り入れた効率的な医薬品開発につながることが期待される。(第3章内「おわりに」より)
「第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法 」
( シオノギファーマ(株) 長尾 恭子 /著)
……2018年6月にバルサルタン原薬においてN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことを皮切りに、欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)は他国の規制当局と共に医薬品へのニトロソアミン類の混入に関する調査を、テトラゾール環を有するサルタン系の原薬に留まらず、他のカテゴリーの医薬品にまで拡大して実施した。その結果、サルタン系の原薬の他にもH2ブロッカーであるラニチジン、ニザチジン、糖尿病治療薬のメトホルミンからもニトロソアミン不純物が検出され、安全性が確保できないと判断された製品については世界的に医薬品の回収が行われた。……(中略)……日本においても今後、欧米と同様にニトロソアミン不純物の規制は厳格化されることが予想される。本章では、ニトロソアミン不純物に求められるリスク評価とその試験法について紹介する。 ……(本文へ続く)
「第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例」
( (独)医薬品医療機器総合機構 小川 卓巳 /著)
……リスクアセスメントについてはICH Q9において示されているが、この考え方は昨今の医薬品品質の審査の様々な場面において参考となる内容となっている。リスクアセスメントの流れとしてはリスクを特定し、リスクを分析する、そしてリスク評価するということになり、うまくいかないという事態、即ちリスクを遠ざけるために、評価されるものである。承認後においては、このリスクアセスメントの作成、見直しが必要になる機会が多く発生し、その結果として、管理戦略の変更が生じ、薬事手続きが必要になるケースもある。医薬品不純物でいえば、混入する不純物は何か、混入源や要因は何か、混入する可能性や程度はどのくらいか、混入したときに、どのようなことが想定されるか等を予め検討することになる。そして、その結果を踏まえて適切な管理戦略の策定(製造管理、品質管理)が行われる。……(中略)……次項では、不純物のリスクアセスメントに係る事例としておさえてほしいものをいくつか例示する。なお、個々の品目ごとの対応は申請品目の特性に応じて検討するものであり、本稿で述べる内容は適切な対応例ではないケースも想定されることに留意してほしい。……(本文へ続く)
目次
1. Q&A作成の背景や経緯について
2. 意見公募にかけられたICH M7 Q&A案の概説
2.1 半合成原薬とその製剤は,ICH M7の適用範囲に含まれるか? (質問2.1)
2.2 「4.3 市販製品の臨床使用に対する変更」にある,「臨床用量の著しい増量」とは
何を指すのか? (質問4.1)
2.3 原薬の規格に規定されたクラス2又はクラス3の不純物が3つ以上の場合,
「表2:個々の不純物に対する許容摂取量」が適用されるか? (質問7.5)
2.4 オプション4の管理戦略の適用が適切なのはどのような場合か? (質問8.1)
2.5 予測的なパージ計算をオプション4の管理に使用にするあたり,どのような要素を
考慮すべきか? (質問8.2)
2.6 8.2項「管理方法の検討事項」にある,「合成の最終工程で導入される不純物に
ついては,妥当性が示されない限り,オプション1による管理方法の適用が
期待される」とはどういう意味か? (質問8.3)
2.7 オプション2及び3の管理として,定期的検証試験(すなわち,スキップ試験)は
認められるか? (質問8.4)
2.8 潜在的な変異原性不純物に関する試験データ(すなわち,工程内,中間体,又は
原薬の不純物試験データ)が複数のバッチで一貫してTTCの30%未満であった
場合,その不純物の試験を行わないとする管理戦略の妥当性を示すのに十分か?
(質問8.5)
2.9 オプション3及び4の管理の裏付けとなる分析実験のデータを取得する際,
スケールに関してどのような事を考慮すべきか? (質問8.6)
2.10 製造販売承認申請に際して,どのような内容及びCTDの記載箇所によって,
ICH M7のリスク評価及び管理戦略の明確さを向上させる事ができるか?(質問9.2)
3. 総括と展望
第2章 原薬合成における変異原性不純物の管理:パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法
2. オプション4による管理
3. パージファクターを用いた変異原性不純物のリスク評価方法
3.1 必要となるパージファクター(Required purge factor)
3.2 予測のパージファクター(Predicted purge factor)
3.2.1 反応性(Reactivity)
3.2.2 溶解性(Solubility)
3.2.3 揮発性(Volatility)
3.2.4 イオン化性(Ionizability)
3.2.5 物理的プロセス(Physical processes)
3.3 実測のパージファクター(Measured purge factor)
3.4 パージ比(Purge Ratio)
3.5 in silicoツールを用いたパージ評価
4. サクラミル原薬における変異原性不純物の管理戦略の構築
4.1 不純物のハザード評価結果
4.2 変異原性不純物の許容限度値の算出
4.3 パージファクターを用いたリスク評価
4.3.1 CP-3のリスク評価
4.3.2 CP-4のリスク評価
4.3.3 CP-5のリスク評価
4.3.4 CP-6のリスク評価
4.3.5 不純物D(daughter impurity D)のリスク評価
4.3.6 Oxalyl chlorideのリスク評価
4.3.7 Dimethylcarbamoyl chloride(DMCC)のリスク評価
4.4 管理戦略のまとめ
おわりに
第3章 推定パージファクターの活用における留意事項
1. 推定パージファクター
2. 推定パージファクターのスコアリング
2.1 リスク評価の考え方
2.2 推定パージファクターのスコアリングの根拠
2.3 各物理化学的パラメータのスコアリング
2.4 反応性(Reactivity)
2.4.1 実測値及び予測値に基づくスコアリング
2.4.2 科学的な考察に基づくスコアリング
2.5 溶解性(Solubility)
2.5.1 実測値及び予測値に基づくスコアリング
2.5.2 科学的な考察に基づくスコアリング
3. スコアリングに際しての留意点
3.1 初期濃度の設定
3.2 同一工程内における同一要素のスコアの積算
3.3 分液操作に対するスコアリング
3.4 ケーキ洗浄への溶解性スコアの適用
3.5 溶解性(Solubility)とイオン化性(Ionizability)の相違について
3.6 変異原性不純物が別の変異原性不純物に変換される場合
3.7 スコアの透明性を向上するために
4. その他の留意点など
4.1 製造方法の変更に関する留意点
4.2 推定パージファクターの根拠の当局への提出
4.3 出発物質選定の妥当性の根拠としての推定パージファクターの活用
4.4 残留溶媒の残留リスク評価
おわりに
第4章 ニトロソアミン類のリスク評価と試験法
1. ニトロソアミン不純物の管理に対する要求事項
1.1 ガイダンスのスコープ
1.2 リスク評価,検証試験,規制当局への報告
1.3 ニトロソアミン類の管理を目的とした変更管理
1.4 対応期限
2. ニトロソアミン類に関するリスク評価
2.1 原薬製造プロセスにおけるリスク評価
2.2 使用原料へのニトロソアミン類または原因物質混入に関するリスク評価
2.3 その他の混入リスク評価
2.4 ニトロソアミン類の混入リスクが認められた場合の更なる評価について
2.5 製剤製造プロセスにおけるリスク評価について
3. ニトロソアミン類に関する管理戦略
3.1 管理戦略開発のアプローチ
3.2 製剤中のニトロソアミン類の許容摂取量
3.2.1 単一の既知のニトロソアミンが同定されたときの許容摂取量の計算
3.2.2 単一の未知のニトロソアミンが同定されたときの許容摂取量の計算
3.2.3 複数のニトロソアミンが同定された場合の許容摂取量の計算
4. ニトロソアミン類の試験法
4.1 ニトロソアミン類の試験法に対する要求事項
4.2 分析法の設定および試験実施時における留意点
4.2.1 測定手法の選択
4.2.2 微量分析を達成できる高感度検出器
4.2.3 測定試料に対する前処理
4.2.3.1 原薬中のニトロソアミン類の前処理の方法
4.2.3.2 製剤中のニトロソアミン類の前処理の方法とコツ
4.2.3.3 試験法開発時および実験操作における留意点
4.2.4 測定に用いるシステム
4.3 ニトロソ化剤,被ニトロソ化剤の管理
4.4 LC-MS/MSによるニトロソアミン類の試験法の実例
4.4.1 NDMAの直線性,定量限界について
4.4.2 NDEAの直線性,定量限界について
まとめ
第5章 医薬品不純物のリスクアセスメントと関連する最近の事例
1. 不純物のリスクアセスメントの重要性
2. 事例
【事例1】 元素不純物について
【事例2】 変異原性不純物について
【事例3】 ニトロソアミン類について
おわりに
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