ミスのない難局打開の“造粒技術”
~トラブル事例と解決策による造粒の技能伝承~
<問題解決、分析評価、医薬品・化粧品・電池など各業界での実際>
発刊日 | 2014年5月27日 |
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体裁 | B5判並製本 292頁 |
価格(税込)
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54,000円
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ISBNコード | 978-4-86428-103-4 |
Cコード | C3058 |
こんな時はどうすれば良いのか!? さまざまな問題解決の技術を伝承!
◎層内湿度・原料水分・中間乾燥・脱気 ◎供給系のトラブル ◎造粒密度の制御 ◎供給量の自動制御で安定化
◎密度・強度の不均一 ◎羽根の回転数 ◎原料の粒度 ◎原料が押し出せない ◎バスケットの破損
◎乾燥機内に原料の塊が堆積する ◎バスケット破片混入 ◎条件設定と粒子設計 ◎粒径と回収率と出口温度
◎熱変性・熱分解が起きている ◎粒形が球状にならない ◎回収粉体の物性に季節変動 ◎粒径のコントロール
◎混合機のスケールアップ ◎臼杵と破損 ◎打錠障害 ◎キャッピング ◎スティッキング ◎バインディングとモットリング
◎異物混入と対策 ◎バインダーの工夫 ◎熱軟化性の強い原料 ◎PATによる造粒工程モニタリング
◎粉体付着トラブル ◎製品吸湿固結トラブル ◎製品タンク底面固結 ◎原料タンク排出不能 ◎空気輸送系の閉塞
◎脱気固結 ◎粉砕機オーバーロード停止 などのトラブルを解決し、スムーズに生産性をUP!
著者
吉原 伊知郎 | (株)奈良機械製作所 |
吉田 照男 | 吉田技術士事務所 【元・味の素】 |
小田木 克明 | 新東工業(株) |
岩元 寛司 | 日本ビュッヒ(株) |
明 長良 | 元・富山県薬事研究所 |
小出 達夫 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
鈴木 高広 | 近畿大学 【元・日本ロレアル】 |
永瀬 光 | (株)パウレック |
内田 和宏 | (株)パウレック |
書籍趣旨
そのような中、いざ新しい造粒品を開発・生産をしようとしても聞ける人が社内にいないなど困った時には、本書を読めば解決へのヒントとなるような1冊として企画しました。
本書では、撹拌造粒・流動層造粒・転動造粒・圧縮造粒・押出造粒・噴霧乾燥技術を網羅し、そのトラブル事例と対策、また大きな課題としてスケールアップや打錠障害対策、バインダー技術、医薬品を例とした造粒の評価分析を盛り込み、さらには医薬品・化粧品・食品・飼料・電池など造粒技術が重要な分野の実際を取り入れましたので、異業種の分野での内容も参考にしていただければと存じます。
本書を通して、生産・製造の現場担当者をはじめ、品質管理・研究開発者のみなさまに、技能伝承となるような書籍としてお役に立てる1冊となれば幸いです。(企画担当)
造粒品の製造を考える時、粒の大きさ、形、硬さ、溶解性など様々な粒の特性が考えられる。顆粒商品の開発では、その商品の形状を「押出造粒」とか「攪拌造粒」、「流動造粒」のように安易に決めがちである。競合他社の先行商品を、つい真似して、その外観にとらわれがちである。
しかし大切な事は「溶解性の良い粒」、「流動性の良い粒」、「粒の大きさが揃っている」等、市場のニーズに応える商品は、そのコンセプトを良く考えないと得られない。
生産技術を良く理解していない人は、設備を購入して原料が揃えば運転方法は設備メーカーが教えてくれると勘違いしている。設備運転の基本操作は設備メーカーが教えてくれるが、自社の製品のコンセプトを十分満たす形で生産できる運転条件までは設備メーカーは設定できない。それは正に設備ユーザーの技術者の技術力にかかっている。 <第2章 第1節より>
目次
第1章 造粒の目的・メカニズム・考え方と造粒装置の選定方法
はじめに
1. 造粒の目的
1.1 目的の多様性
1.2 原料形態が「粉である為のトラブル」を解決する。
[詰まる。くっつく。摩耗する。洩れる。流れる。飛んでゆく。]
[蓄熱、発火、粉塵爆発、偏析(パーコレーション、形状分離、重力分離、風篩etc)]
1.3 その他の造粒目的
2. 造粒のメカニズム
2.1 造粒原理と装置
2.2 造粒装置の選択
2.3 造粒物の評価
おわりに
第2章 各種造粒技術とトラブル事例、およびその対策
第1節 攪拌造粒と解砕整粒におけるトラブル事例、およびその対策
1. 造粒の目的とメカニズム
1.1 造粒の目的
1.2 造粒のメカニズム
2. 攪拌造粒機の種類
3. 攪拌造粒機内の原料付着トラブル
3.1 原因
3.2 対策
4. 攪拌造粒品が固まったトラブル
4.1 トラブル発生
4.2 原因
4.3 対策
4.3.1 固結防止剤の添加
4.3.2 乾燥の強化
4.3.3 造粒方法の変更
5. 操作条件と造粒結果
5.1 回分式攪拌造粒機のバインダの添加量
5.2 回分式攪拌造粒機の原料の粒度
5.3 回分式攪拌造粒機の混練時間
5.3.1 混練時間の製品粒子径への影響
5.3.2 攪拌造粒機のスケールアップと混練時間
5.4 連続式攪拌造粒機での実験結果
6. 乾燥機の操作条件
7. 整粒工程:篩上の大きな粒子の処理
8. 造粒機のスケールアップの現状
まとめ
第2節 流動層造粒におけるトラブル事例、およびその対策
1. 流動造粒機の基礎
2. 最小流動化速度と流動状態
3. 流動層造粒の特徴
4. 流動層造粒機の種類
5. 流動層造粒機の機種選定・装置設計上の留意点
6. 粒子の終端速度から計算した流動化速度
6.1 流動層の風速の評価方法
6.2 流動層の風速の計算例
6.3 造粒時の層内湿度
6.4 流動層内原料水分
6.5 流動層造粒における中間乾燥
7. トラブル事例とその対策、その1
7.3.1 原因
7.3.2 対策
8. トラブル事例とその対策、その2
8.1 原因
8.2 対策
8.2.1 攪拌造粒機の運転条件の検討
8.2.2 造粒方法を流動層造粒法に戻す
まとめ
第3節 転動造粒の基礎と応用例
1. 転動造粒機の原理と特徴
2. 転動造粒の応用例
3. 転動造粒機の特性:ドラムの回転数とバインダ噴霧角度
4. 転動造粒機のバインダの温度
5. 転動造粒機のスケールアップの事例
6. 転動造粒機でのトラブル事例
6.1 原因
6.2 対策
まとめ
第4節 圧縮造粒におけるトラブル事例、およびその対策
はじめに
1. ロールプレス式圧縮造粒法の概要
1.1 ブリケッティング
1.2 コンパクティング
2. トラブル事例
2.1 供給系のトラブル
2.1.1 ホッパー
2.1.2 フィードスクリュー
2.2 ロールへの原料の付着
2.2.1 ポケットのサイズ・形状等
2.2.2 滑沢剤
2.3 造粒物の密度・強度不足
2.3.1 原料重力供給方式の場合の造粒密度の制御
2.3.2 フィードスクリューによる原料の予備圧縮
2.3.3 真空脱気システム
2.3.4 供給量の自動制御による造粒品質の安定化
2.4 造粒物の密度・強度の不均一
2.4.1 幅方向の不均一
2.4.1.1 ブリケッティング
2.4.1.2 コンパクティング
2.4.2 フィードスクリューに起因する周期的密度変動
おわりに
第5節 押出造粒におけるトラブル事例、およびその対策
はじめに
1. 押出造粒機の原理特徴
2. 押出造粒機の特性
3. 押出造粒機の稼働状況の観察
4. 造粒機の押出羽根の回転数の影響
5. 押出造粒機での原料の粒度の影響
6. 押出造粒におけるトラブル事例、及びその対策
6.1 バスケット型押出造粒機で原料が押し出せないトラブル
6.1.1 事例内容
6.1.2 原因調査
6.1.3 対策
6.2 バスケットの破損が多いトラブル
6.2.1 事例内容
6.2.2 原因調査
6.2.3 対策と結果
6.3 乾燥機内に原料の塊が堆積するトラブル
6.3.1 事例内容
6.3.2 原因調査
6.3.3 対策
6.4 押出造粒機のバスケット破片混入トラブル
6.4.1 原因
6.4.2 対策
第6節 噴霧乾燥粒子設計:スプレードライヤーにおけるトラブル事例、およびその対策
はじめに
1. スプレードライヤーの基礎
1.1 スプレードライヤーの歴史
1.2 スプレードライヤーの転換期
2. スプレードライヤーの基礎
2.1 スプレードライヤーの方式
2.2 スプレードライヤーの基本構造(水溶媒使用時)
2.3 有機溶媒使用時
3. スプレードライヤーによって回収される粉体の特徴
3.1 粒子の形状
3.2 粒径
3.3 結晶化度
3.4 残存溶媒
3.5 温度による影響
4. 粒子設計の基礎
4.1 基礎的な粒子設計
4.2 粒径を変えたい,思った通りの粒径にならない
4.3 回収率を上げたい
4.4 出口温度を下げたい
5. さまざまなトラブルに対する対処
5.1 複雑な条件設定と粒子設計
5.2 粒径と回収率と出口温度の複雑な関係
5.3 サイクロンに付着する(ガラス転移温度が低いサンプル)
5.4 乾燥チャンバーに糸状の物質が付着する
5.5 出口温度が十分に低いのに熱変性・熱分解が起きている
5.6 回収粉体の物性に季節変動がみられる
5.7 粒形が球状にならない・表面状態を変えたい
6. よくある要望
6.1 1μm以下の粒子をつくりたい
6.2 粒径を小さくできるメカニズム(ノズル)
6.3 粒径を小さくできるメカニズム(回収)
6.4 噴霧結果等
6.5 今後の展望等
第3章 造粒技術におけるスケールアップ
1. 含量均一性とスケールアップ
1.1 撹拌造粒と転動造粒のスケールアップ法
1.2 遠心力とスケールアップ
1.2.1 遠心力(centrifugal force):向心力、求心力
1.2.2 遠心効果(centrifugal effect)
1.2.3 撹拌造粒機スケールアップ
1.2.4 転動造粒機回転円板のスケールアップ法
1.2.5 遠心力比によるスケールアップ結果
1.2.6 仕込み量のスケールアップ
2. 流動層造粒機のスケールアップ法
2.1 流動層造粒機のスケールアップ法
2.1.1 風量のスケールアップ(5kgバッチから120kgバッチへのスケールアップ)
2.1.2 スプレー速度のスケールアップ
2.1.3 液滴径のスケールアップ (スプレー空気量とスプレー速度)
2.1.4 液滴径とスケールアップ
2.1.5 その他のスケールアップ要因
3. 混合機のスケールアップ
3.1 最適回転数の設定
3.2 粉粒体の仕込み率
3.3 滑沢剤混合における混合時間の影響
第4章 打錠用顆粒の造粒、打錠障害とその防止策
はじめに
1. 撹拌造粒
2. 流動層造粒
2.1 流動層造粒と湿度図表
3. 打錠技術と品質管理
3.1 臼杵の構造と破損
3.2 打錠障害
3.3 打錠障害のさまざま
3.3.1 キャッピング
3.3.2 スティッキング
3.3.3 バインディングとモットリング
3.3.4 滑沢剤の過剰混合
3.4 刻印錠の問題
4. 錠剤への異物混入と対策
4.1 昆虫
4.2 人体、衣類、書類、備品から混入する異物
4.3 打錠機から混入する異物
5. 打錠機臼杵の管理
6. 錠剤検査機と社員教育
第5章 バインダー・添加剤の特性と選定・活用技術
はじめに
1. バインダー
1.1 バインダーの機能
1.1.1 マトリックス型バインダー
1.1.2 フィルム型バインダー
1.1.3 反応型バインダー
1.2 造粒プロセスの中に見られるバインダーの役割
1.2.1 工程内における造粒に関与する因子
1.3 造粒機におけるバインダーの働き
1.3.1 押出造粒機
1.3.2 攪拌造粒機
1.3.3 流動造粒機
1.3.4 転動造粒機
1.3.5 圧縮造粒機
2. バインダーに使われる材料
2.1 バインダーの工夫
2.2 バインダーの例
2.3 バインダー,賦形剤の業界別レビュー
2.3.1 医薬品
2.3.2 飼料
2.3.3 肥料
2.3.4 廃棄物
2.3.5 洗剤
2.3.6 食品
2.3.7 農薬
3. トラブル事例
3.1 熱軟化性の強い原料によるトラブル
3.1.1 原因
3.1.2 対策
3.2 押出造粒できないトラブル
3.2.1 原因
3.2.2 対策
第6章 造粒物の評価・分析
はじめに
1. 医薬品品質評価と造粒物の評価についての最近の考え方
2. 一般的な造粒物の分析評価法
2.1 粒度
2.2 密度
2.3 比表面積測定
2.4 粉体の流動性
3. PAT(Process Analytical Technology)
3.1 PAT による造粒工程モニタリング
3.2 FBRM による流動層造粒中の粒子測定モニタリング例
4. ケミカルイメージングシステムによる造粒物の分析評価
4.1 ケミカルイメージングシステムとは
4.2 ケミカルイメージング技術による造粒物の分析例
4.3 ケミカルイメージング技術の問題点
おわりに
第7章 製造現場から見た、造粒工程のトラブル対策
はじめに
1. 圧縮造粒機でのトラブル事例
1.1 圧縮造粒機で製品化率が低下したトラブル
1.1.1 原因
1.1.2 対策
2.噴霧乾燥機でのトラブル事例
2.1 噴霧乾燥機の塔壁への粉体付着トラブル
2.1.1 原因①
2.1.2 原因②
2.1.3 原因③
2.1.4 対策
2.2 噴霧乾燥機,乾燥品冷却配管内の製品吸湿固結トラブル
2.2.1 原因
2.2.2 対策
3. 造粒周辺工程のトラブル事例
3.1 製品タンク底面固結トラブル
3.1.1 原因
3.1.2 対策
3.2 原料タンク排出不能トラブル
3.2.1 原因
3.2.2 対策
3.3 空気輸送系の閉塞トラブル
3.3.1 原因
3.3.2 対策
3.4 コンテナーボックス内で混合粉体が脱気固結したトラブル
3.4.1 原因
3.4.2 対策
3.5 原料流れの偏りによる粉砕機オーバーロード停止トラブル
3.5.1 原因
3.5.2 対策
3.6 流動乾燥機内の攪拌機破損トラブル
3.6.1 原因
3.6.2 対策
第8章 応用・実情・新技術
第1節 医薬品における造粒技術の実情
はじめに
1. 医薬品固形製剤プロセス中での造粒
2. 造粒装置の紹介
2.1 高速撹拌造粒装置(Vartical Granulator:VG)
2.2 流動層造粒乾燥装置
2.2.1 流動層造粒乾燥装置(Fluid Bed:FB)
2.2.2 転動流動層造粒乾燥コーティング装置(Multiplex:MP)
2.2.3 改良型ワースタ流動層造粒乾燥コーティング装置(Small Particle Coater:SPC)
2.2.4 複合型流動層造粒乾燥コーティング装置(Super Fine Processor:SFP)
2.2.5 パルス流動層造粒乾燥装置
2.3 乾式造粒装置(チルソネータ)
3. 造粒方法について
4. 口腔内崩壊錠用核粒子の粒子設計・粒子加工の紹介
おわりに
第2節 化粧品における造粒技術の実情
1. 粉体化粧品の造粒技術とブランドイメージ
2. 原料メーカーと製品メーカーの粉体技術の壁
3. 国内の化粧品市場
4. ファンデーションと造粒技術
5. ファンデーションの種類と用途
5.1 ファンデーションの種類と粉体配合率
5.2 ルースパウダー
5.3 パウダーファンデーション
5.4 リキッドファンデーション
6. 粉体の機能と複合化
6.1 体質顔料の特徴
6.2 層状ケイ酸塩の結晶構造と粉砕方法
6.3 接触角と動摩擦係数
6.4 光沢,透明度,隠蔽性
6.5 粉体の形状と化粧崩れ
6.6 粉体の付着力
6.7 嵩密度と色崩れ
7. 化粧品の造粒技術の要点
第3節 食品および健康食品における造粒技術の実情
はじめに
1. 食品
2. 健康食品
2.1 健康食品素材
2.2 サプリメント
2.2.1 サプリメントの品質管理
2.2.2 錠剤製造
2.2.3 粒子コーティング
2.2.4 粒子コーティング・プロセス
2.2.5 カプセル剤の製造
2.2.6 軟カプセル剤
2.2.7 細粒剤における顆粒プロセス
2.2.8 顆粒剤及び打錠用顆粒の造粒
第4節 飼料における造粒技術の実情
はじめに
1. 飼料の造粒機
1.1 飼料の造粒機の種類
1.2 飼料の造粒製造フロー
2. 造粒機各論
2.1 ディスクペレッター
2.1.1 ハードペレットの製造工程
2.1.2 ハードペレットの製造条件と物性
2.2 スクリューペレッター(押出し造粒機)
2.3 攪拌造粒機
2.4 エクストルーダー
2.5 モイスペレット製造設備
2.6 破砕造粒機
2.7 スプレードライヤー
まとめ
第5節 電池材料への粒子界面制御、コーティング技術
はじめに
1. 流動層微粒子コーティング装置の解説
1.1 微粒子コーティングへの展開
1.1.1 改良型ワースタ流動層
1.1.2 転動流動層
1.1.3 複合型流動層
2. 流動層微粒子コーティング装置による導電性付与の検討
2.1 混合・コーティングでの粉体加工法による導電性評価
2.2 微粒子コーティング性能を発揮するための湿式分散技術
3. 流動層微粒子コーティング技術によるCoフリー水酸化ニッケル正極の開発
4. 流動層微粒子コーティング技術によるリチウムイオン二次電池への展開
4.1 電解質の分解抑制効果
4.2 正極活物質の全固体型リチウムイオン電池の高出力化
おわりに
著者
吉原 伊知郎 | (株)奈良機械製作所 |
吉田 照男 | 吉田技術士事務所 【元・味の素】 |
小田木 克明 | 新東工業(株) |
岩元 寛司 | 日本ビュッヒ(株) |
明 長良 | 元・富山県薬事研究所 |
小出 達夫 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
鈴木 高広 | 近畿大学 【元・日本ロレアル】 |
永瀬 光 | (株)パウレック |
内田 和宏 | (株)パウレック |
書籍趣旨
そのような中、いざ新しい造粒品を開発・生産をしようとしても聞ける人が社内にいないなど困った時には、本書を読めば解決へのヒントとなるような1冊として企画しました。
本書では、撹拌造粒・流動層造粒・転動造粒・圧縮造粒・押出造粒・噴霧乾燥技術を網羅し、そのトラブル事例と対策、また大きな課題としてスケールアップや打錠障害対策、バインダー技術、医薬品を例とした造粒の評価分析を盛り込み、さらには医薬品・化粧品・食品・飼料・電池など造粒技術が重要な分野の実際を取り入れましたので、異業種の分野での内容も参考にしていただければと存じます。
本書を通して、生産・製造の現場担当者をはじめ、品質管理・研究開発者のみなさまに、技能伝承となるような書籍としてお役に立てる1冊となれば幸いです。(企画担当)
造粒品の製造を考える時、粒の大きさ、形、硬さ、溶解性など様々な粒の特性が考えられる。顆粒商品の開発では、その商品の形状を「押出造粒」とか「攪拌造粒」、「流動造粒」のように安易に決めがちである。競合他社の先行商品を、つい真似して、その外観にとらわれがちである。
しかし大切な事は「溶解性の良い粒」、「流動性の良い粒」、「粒の大きさが揃っている」等、市場のニーズに応える商品は、そのコンセプトを良く考えないと得られない。
生産技術を良く理解していない人は、設備を購入して原料が揃えば運転方法は設備メーカーが教えてくれると勘違いしている。設備運転の基本操作は設備メーカーが教えてくれるが、自社の製品のコンセプトを十分満たす形で生産できる運転条件までは設備メーカーは設定できない。それは正に設備ユーザーの技術者の技術力にかかっている。 <第2章 第1節より>
目次
第1章 造粒の目的・メカニズム・考え方と造粒装置の選定方法
はじめに
1. 造粒の目的
1.1 目的の多様性
1.2 原料形態が「粉である為のトラブル」を解決する。
[詰まる。くっつく。摩耗する。洩れる。流れる。飛んでゆく。]
[蓄熱、発火、粉塵爆発、偏析(パーコレーション、形状分離、重力分離、風篩etc)]
1.3 その他の造粒目的
2. 造粒のメカニズム
2.1 造粒原理と装置
2.2 造粒装置の選択
2.3 造粒物の評価
おわりに
第2章 各種造粒技術とトラブル事例、およびその対策
第1節 攪拌造粒と解砕整粒におけるトラブル事例、およびその対策
1. 造粒の目的とメカニズム
1.1 造粒の目的
1.2 造粒のメカニズム
2. 攪拌造粒機の種類
3. 攪拌造粒機内の原料付着トラブル
3.1 原因
3.2 対策
4. 攪拌造粒品が固まったトラブル
4.1 トラブル発生
4.2 原因
4.3 対策
4.3.1 固結防止剤の添加
4.3.2 乾燥の強化
4.3.3 造粒方法の変更
5. 操作条件と造粒結果
5.1 回分式攪拌造粒機のバインダの添加量
5.2 回分式攪拌造粒機の原料の粒度
5.3 回分式攪拌造粒機の混練時間
5.3.1 混練時間の製品粒子径への影響
5.3.2 攪拌造粒機のスケールアップと混練時間
5.4 連続式攪拌造粒機での実験結果
6. 乾燥機の操作条件
7. 整粒工程:篩上の大きな粒子の処理
8. 造粒機のスケールアップの現状
まとめ
第2節 流動層造粒におけるトラブル事例、およびその対策
1. 流動造粒機の基礎
2. 最小流動化速度と流動状態
3. 流動層造粒の特徴
4. 流動層造粒機の種類
5. 流動層造粒機の機種選定・装置設計上の留意点
6. 粒子の終端速度から計算した流動化速度
6.1 流動層の風速の評価方法
6.2 流動層の風速の計算例
6.3 造粒時の層内湿度
6.4 流動層内原料水分
6.5 流動層造粒における中間乾燥
7. トラブル事例とその対策、その1
7.3.1 原因
7.3.2 対策
8. トラブル事例とその対策、その2
8.1 原因
8.2 対策
8.2.1 攪拌造粒機の運転条件の検討
8.2.2 造粒方法を流動層造粒法に戻す
まとめ
第3節 転動造粒の基礎と応用例
1. 転動造粒機の原理と特徴
2. 転動造粒の応用例
3. 転動造粒機の特性:ドラムの回転数とバインダ噴霧角度
4. 転動造粒機のバインダの温度
5. 転動造粒機のスケールアップの事例
6. 転動造粒機でのトラブル事例
6.1 原因
6.2 対策
まとめ
第4節 圧縮造粒におけるトラブル事例、およびその対策
はじめに
1. ロールプレス式圧縮造粒法の概要
1.1 ブリケッティング
1.2 コンパクティング
2. トラブル事例
2.1 供給系のトラブル
2.1.1 ホッパー
2.1.2 フィードスクリュー
2.2 ロールへの原料の付着
2.2.1 ポケットのサイズ・形状等
2.2.2 滑沢剤
2.3 造粒物の密度・強度不足
2.3.1 原料重力供給方式の場合の造粒密度の制御
2.3.2 フィードスクリューによる原料の予備圧縮
2.3.3 真空脱気システム
2.3.4 供給量の自動制御による造粒品質の安定化
2.4 造粒物の密度・強度の不均一
2.4.1 幅方向の不均一
2.4.1.1 ブリケッティング
2.4.1.2 コンパクティング
2.4.2 フィードスクリューに起因する周期的密度変動
おわりに
第5節 押出造粒におけるトラブル事例、およびその対策
はじめに
1. 押出造粒機の原理特徴
2. 押出造粒機の特性
3. 押出造粒機の稼働状況の観察
4. 造粒機の押出羽根の回転数の影響
5. 押出造粒機での原料の粒度の影響
6. 押出造粒におけるトラブル事例、及びその対策
6.1 バスケット型押出造粒機で原料が押し出せないトラブル
6.1.1 事例内容
6.1.2 原因調査
6.1.3 対策
6.2 バスケットの破損が多いトラブル
6.2.1 事例内容
6.2.2 原因調査
6.2.3 対策と結果
6.3 乾燥機内に原料の塊が堆積するトラブル
6.3.1 事例内容
6.3.2 原因調査
6.3.3 対策
6.4 押出造粒機のバスケット破片混入トラブル
6.4.1 原因
6.4.2 対策
第6節 噴霧乾燥粒子設計:スプレードライヤーにおけるトラブル事例、およびその対策
はじめに
1. スプレードライヤーの基礎
1.1 スプレードライヤーの歴史
1.2 スプレードライヤーの転換期
2. スプレードライヤーの基礎
2.1 スプレードライヤーの方式
2.2 スプレードライヤーの基本構造(水溶媒使用時)
2.3 有機溶媒使用時
3. スプレードライヤーによって回収される粉体の特徴
3.1 粒子の形状
3.2 粒径
3.3 結晶化度
3.4 残存溶媒
3.5 温度による影響
4. 粒子設計の基礎
4.1 基礎的な粒子設計
4.2 粒径を変えたい,思った通りの粒径にならない
4.3 回収率を上げたい
4.4 出口温度を下げたい
5. さまざまなトラブルに対する対処
5.1 複雑な条件設定と粒子設計
5.2 粒径と回収率と出口温度の複雑な関係
5.3 サイクロンに付着する(ガラス転移温度が低いサンプル)
5.4 乾燥チャンバーに糸状の物質が付着する
5.5 出口温度が十分に低いのに熱変性・熱分解が起きている
5.6 回収粉体の物性に季節変動がみられる
5.7 粒形が球状にならない・表面状態を変えたい
6. よくある要望
6.1 1μm以下の粒子をつくりたい
6.2 粒径を小さくできるメカニズム(ノズル)
6.3 粒径を小さくできるメカニズム(回収)
6.4 噴霧結果等
6.5 今後の展望等
第3章 造粒技術におけるスケールアップ
1. 含量均一性とスケールアップ
1.1 撹拌造粒と転動造粒のスケールアップ法
1.2 遠心力とスケールアップ
1.2.1 遠心力(centrifugal force):向心力、求心力
1.2.2 遠心効果(centrifugal effect)
1.2.3 撹拌造粒機スケールアップ
1.2.4 転動造粒機回転円板のスケールアップ法
1.2.5 遠心力比によるスケールアップ結果
1.2.6 仕込み量のスケールアップ
2. 流動層造粒機のスケールアップ法
2.1 流動層造粒機のスケールアップ法
2.1.1 風量のスケールアップ(5kgバッチから120kgバッチへのスケールアップ)
2.1.2 スプレー速度のスケールアップ
2.1.3 液滴径のスケールアップ (スプレー空気量とスプレー速度)
2.1.4 液滴径とスケールアップ
2.1.5 その他のスケールアップ要因
3. 混合機のスケールアップ
3.1 最適回転数の設定
3.2 粉粒体の仕込み率
3.3 滑沢剤混合における混合時間の影響
第4章 打錠用顆粒の造粒、打錠障害とその防止策
はじめに
1. 撹拌造粒
2. 流動層造粒
2.1 流動層造粒と湿度図表
3. 打錠技術と品質管理
3.1 臼杵の構造と破損
3.2 打錠障害
3.3 打錠障害のさまざま
3.3.1 キャッピング
3.3.2 スティッキング
3.3.3 バインディングとモットリング
3.3.4 滑沢剤の過剰混合
3.4 刻印錠の問題
4. 錠剤への異物混入と対策
4.1 昆虫
4.2 人体、衣類、書類、備品から混入する異物
4.3 打錠機から混入する異物
5. 打錠機臼杵の管理
6. 錠剤検査機と社員教育
第5章 バインダー・添加剤の特性と選定・活用技術
はじめに
1. バインダー
1.1 バインダーの機能
1.1.1 マトリックス型バインダー
1.1.2 フィルム型バインダー
1.1.3 反応型バインダー
1.2 造粒プロセスの中に見られるバインダーの役割
1.2.1 工程内における造粒に関与する因子
1.3 造粒機におけるバインダーの働き
1.3.1 押出造粒機
1.3.2 攪拌造粒機
1.3.3 流動造粒機
1.3.4 転動造粒機
1.3.5 圧縮造粒機
2. バインダーに使われる材料
2.1 バインダーの工夫
2.2 バインダーの例
2.3 バインダー,賦形剤の業界別レビュー
2.3.1 医薬品
2.3.2 飼料
2.3.3 肥料
2.3.4 廃棄物
2.3.5 洗剤
2.3.6 食品
2.3.7 農薬
3. トラブル事例
3.1 熱軟化性の強い原料によるトラブル
3.1.1 原因
3.1.2 対策
3.2 押出造粒できないトラブル
3.2.1 原因
3.2.2 対策
第6章 造粒物の評価・分析
はじめに
1. 医薬品品質評価と造粒物の評価についての最近の考え方
2. 一般的な造粒物の分析評価法
2.1 粒度
2.2 密度
2.3 比表面積測定
2.4 粉体の流動性
3. PAT(Process Analytical Technology)
3.1 PAT による造粒工程モニタリング
3.2 FBRM による流動層造粒中の粒子測定モニタリング例
4. ケミカルイメージングシステムによる造粒物の分析評価
4.1 ケミカルイメージングシステムとは
4.2 ケミカルイメージング技術による造粒物の分析例
4.3 ケミカルイメージング技術の問題点
おわりに
第7章 製造現場から見た、造粒工程のトラブル対策
はじめに
1. 圧縮造粒機でのトラブル事例
1.1 圧縮造粒機で製品化率が低下したトラブル
1.1.1 原因
1.1.2 対策
2.噴霧乾燥機でのトラブル事例
2.1 噴霧乾燥機の塔壁への粉体付着トラブル
2.1.1 原因①
2.1.2 原因②
2.1.3 原因③
2.1.4 対策
2.2 噴霧乾燥機,乾燥品冷却配管内の製品吸湿固結トラブル
2.2.1 原因
2.2.2 対策
3. 造粒周辺工程のトラブル事例
3.1 製品タンク底面固結トラブル
3.1.1 原因
3.1.2 対策
3.2 原料タンク排出不能トラブル
3.2.1 原因
3.2.2 対策
3.3 空気輸送系の閉塞トラブル
3.3.1 原因
3.3.2 対策
3.4 コンテナーボックス内で混合粉体が脱気固結したトラブル
3.4.1 原因
3.4.2 対策
3.5 原料流れの偏りによる粉砕機オーバーロード停止トラブル
3.5.1 原因
3.5.2 対策
3.6 流動乾燥機内の攪拌機破損トラブル
3.6.1 原因
3.6.2 対策
第8章 応用・実情・新技術
第1節 医薬品における造粒技術の実情
はじめに
1. 医薬品固形製剤プロセス中での造粒
2. 造粒装置の紹介
2.1 高速撹拌造粒装置(Vartical Granulator:VG)
2.2 流動層造粒乾燥装置
2.2.1 流動層造粒乾燥装置(Fluid Bed:FB)
2.2.2 転動流動層造粒乾燥コーティング装置(Multiplex:MP)
2.2.3 改良型ワースタ流動層造粒乾燥コーティング装置(Small Particle Coater:SPC)
2.2.4 複合型流動層造粒乾燥コーティング装置(Super Fine Processor:SFP)
2.2.5 パルス流動層造粒乾燥装置
2.3 乾式造粒装置(チルソネータ)
3. 造粒方法について
4. 口腔内崩壊錠用核粒子の粒子設計・粒子加工の紹介
おわりに
第2節 化粧品における造粒技術の実情
1. 粉体化粧品の造粒技術とブランドイメージ
2. 原料メーカーと製品メーカーの粉体技術の壁
3. 国内の化粧品市場
4. ファンデーションと造粒技術
5. ファンデーションの種類と用途
5.1 ファンデーションの種類と粉体配合率
5.2 ルースパウダー
5.3 パウダーファンデーション
5.4 リキッドファンデーション
6. 粉体の機能と複合化
6.1 体質顔料の特徴
6.2 層状ケイ酸塩の結晶構造と粉砕方法
6.3 接触角と動摩擦係数
6.4 光沢,透明度,隠蔽性
6.5 粉体の形状と化粧崩れ
6.6 粉体の付着力
6.7 嵩密度と色崩れ
7. 化粧品の造粒技術の要点
第3節 食品および健康食品における造粒技術の実情
はじめに
1. 食品
2. 健康食品
2.1 健康食品素材
2.2 サプリメント
2.2.1 サプリメントの品質管理
2.2.2 錠剤製造
2.2.3 粒子コーティング
2.2.4 粒子コーティング・プロセス
2.2.5 カプセル剤の製造
2.2.6 軟カプセル剤
2.2.7 細粒剤における顆粒プロセス
2.2.8 顆粒剤及び打錠用顆粒の造粒
第4節 飼料における造粒技術の実情
はじめに
1. 飼料の造粒機
1.1 飼料の造粒機の種類
1.2 飼料の造粒製造フロー
2. 造粒機各論
2.1 ディスクペレッター
2.1.1 ハードペレットの製造工程
2.1.2 ハードペレットの製造条件と物性
2.2 スクリューペレッター(押出し造粒機)
2.3 攪拌造粒機
2.4 エクストルーダー
2.5 モイスペレット製造設備
2.6 破砕造粒機
2.7 スプレードライヤー
まとめ
第5節 電池材料への粒子界面制御、コーティング技術
はじめに
1. 流動層微粒子コーティング装置の解説
1.1 微粒子コーティングへの展開
1.1.1 改良型ワースタ流動層
1.1.2 転動流動層
1.1.3 複合型流動層
2. 流動層微粒子コーティング装置による導電性付与の検討
2.1 混合・コーティングでの粉体加工法による導電性評価
2.2 微粒子コーティング性能を発揮するための湿式分散技術
3. 流動層微粒子コーティング技術によるCoフリー水酸化ニッケル正極の開発
4. 流動層微粒子コーティング技術によるリチウムイオン二次電池への展開
4.1 電解質の分解抑制効果
4.2 正極活物質の全固体型リチウムイオン電池の高出力化
おわりに
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